【Web デザイナーのキャリアアップを考える】 Adobe XD Trail Meetup 2021 Spring Day 3 (2021.5.12 開催)

Adobe XD Trail Meetup 2021 Spring 3日目の主題はキャリアです。

Web デザイナーとしての経験を持ち、現在は UX デザインに関わる仕事をしている3人のゲストを迎え、「Web デザイナーが UX デザインに関わることで、キャリアアップの可能性は広がるのか?」をテーマに、それぞれの体験談や、UX デザインに対する考え方、デザインツールを選択することの意味などを伺いました。

トーク 1: 「Webデザイナーが関わるUXデザインとは」

荒砂さんはデザイナーとしてのキャリアを積むにつれて責任範囲が広がったとして、表層のデザインから始まり、骨格/構造、そして要件/戦略まで関わるようになった経緯を振り返りました。UX の領域に本格的に踏み込むことになった一番のきっかけはビジネス戦略への理解が深い会社への転職で、もしビジュアルだけやっていたら今のポジションは無かっただろうという話には、キャリアの観点から身を置く場所を選ぶことの大切さを感じ取った人もいたのではないでしょうか。

また、UX デザインとは具体的にどんなデザインなのか、Web デザインになぜそれが必要なのか理解が深まったという声もありました。日々の制作作業と UX デザインの関係にもやもやしている人にもおすすめの内容です。

荒砂 智之(NTTコミュニケーションズ デザイン部門「KOEL」 UIデザイナー)
受託のデザイン制作会社数社を経て、2020年からNTTコミュニケーションズのデザイン部門「KOEL」にUIデザイナーとして在籍。主に情報設計からビジュアル制作を含むUIデザイン、プロジェクト管理、デザイン組織作り、デザインシステム開発を担当しつつ、UIデザイナーを育てる教育システム作りにも関わる。


トーク 2: 「UXはとりあえず始めてみたら見えてくる。完璧じゃなくていい。」

「勇気を貰った!」「何でもやってみようと思った!」と大きな反響があったのが赤塚さんのトークです。面接に臨むために、全く経験のなかった UX デザインプロセスをとにかく調べまくってやってみるという熱意とポジティブな姿勢は、参加者から強い共感を集めていました。また、実際に面接時に提出された美しい資料とそこに込められた自己アピールの魅せ方への関心も高かったようです。

赤塚さんは、UX デザインの現場で働くようになって学んだこととして、「プロでも初歩的なことを調べ直すのは日常茶飯事である」を挙げていました。だから、「分からないことがあるのは全然恥ずかしいことではないし、調べたり人に聞いたりしながら、見よう見まねでもまずは一度やってみることが大切で、そうすればいろんなものが見えてくるはず」と自身の経験を踏まえて話しています。

完璧さを気にして躊躇するのではなく、一歩ずつ実践を積み重ねることの重要さを気付かせてくれるセッションでした。

赤塚 悠(R/GA Sr. Experience Designer)
制作会社を2社経て、体験全体のデザインをすべくR/GA東京、クリエイティブ Experience Design部門の一員へ。UIとビジュアルデザインの経験を活かし、空間の体験デザインからウェブサイトの設計デザインまで幅広いプロジェクトを担当中。時にはクライアントとワークショップなども行っている。


トーク 3: 「つくりたいのはUIではなくサービス&チームワーク]

プロジェクトではビジネスゴールとユーザーゴール双方に配慮すべきであり、UX はその基盤ツールになり得るというのが松田さんの持論です。そして、2つのゴール達成を目指すにはチーム全員の力が必要になる、すなわち UX デザインに詳しい専門職にすべて任せるのではなく、一人一人の知識は浅くても、チームみんなでUXデザインに取り組む体制が望ましいという発言には、チームのあり方を改めて考えさせられた参加者が多かったようです。

Adobe XD の使い方としては、XD のキャンバスをチームで共有できる広いテーブルのように捉えて、アイデアを貼るイメージボードとして活用している様子が紹介されました。これには「そうやって自由に使っていいものなんだと目から鱗」「私も行っているので共感できた」と様々な反応がありました。

最後に、当日は聞けなかった参加者からの質問への回答を紹介します。

Q: ビジュアルデザインは好きですがデータ分析にはあまり近づきたくないと思っています。それでもUXの領域に関わる利点はありますか?

A: ビジュアルデザインは、「誰かに見てもらう」「誰かに使ってもらう」ために行うものです。つまり、必ずその「誰か」のためにデザインしているはずです。
そこでUXデザイン的なアプローチが役に立ちます。たとえば、ビジュアルデザイナーがペルソナ作成に参加すれば、「誰」のためにデザインすべきかを判断する根拠となる情報を得られます。そうしてつくられたデザインであれば、関係者への説明も、ユーザーにしっかり目を向けた説得力のあるものになるでしょう。

松田 直樹(まぼろし CCO、Webデザイナー/ディレクター)
ゲーム業界にて企画開発に従事した後、Web業界に転身。Webサービス・アプリ、管理画面を数多く手がけ、情報・構造設計およびUIデザインを得意とする。また日本史系メディア運営とライティングも行う。 主な著書に『これからのWebサイト設計の新しい教科書』(共著)などがある。